企業から内定取り消しの連絡がきた場合、あなたは何をすればよいのでしょうか?
この記事では、転職活動中に内定取り消しがきた場合の対処のポイントと具体的な行動について解説します。
目次
内定取り消しは不当解雇で違法
前提として、企業から内定通知の連絡をもらい、転職者が承諾をすれば、その時点から労働契約が成立するため企業に雇用されている状態となります。
つまり、企業側は内定承諾済みの転職者に対して内定取り消しをおこなう場合、以下のような理由が認められなければ、内定取り消しは不当解雇にあたり違法となります。
- 応募書類や面接時に虚偽の申告があった
- 健康上の問題で仕事ができない
- 重大な違法行為があった
- 内定後における企業の著しい業績悪化
- 自然災害により企業の事業継続が困難な場合
中途採用においては嘘の経歴を伝える経歴詐称や、職務遂行を行えない病気や疾患を伝えていなかった等の理由が多いです。
ただ最近では、コロナにより急激に企業の著しい業績悪化が起こり、新卒・中途問わず内定取り消しをおこなった企業もあります。
まずはメールで企業に問い合わせる
では企業から内定取り消しを受けた場合、どうすれば良いのでしょうか。
まずは公的機関や弁護士に相談する前に、一度内定取り消し理由を企業に問い合わせましょう。
その際は、できるだけ文書として残るメールでのやり取りがおすすめです。
いわいる解雇理由証明書というものでも良いですが、経験上、唐突に内定取り消しを行う場合は解雇理由証明書が用意されているケースは少ないです。
ひょっとすると連絡の行き違いや勘違い、担当者の独断だったなど問い合わせや話し合いで解決する場合もあり、内定取り消しが撤回されることもあるかもしれませ。
まずは落ち着いて企業にメールで問い合わせてみましょう。
もし企業が内定取り消しの理由を教えてくれない場合や、理由に納得がいかない場合は基本的には次から解説する3つの行動が考えられます。
あきらめて転職活動を続ける
私の経験上、おすすめなのは、きっぱりと諦めて別の企業を探すことです。正当な理由がなく内定取り消しをおこなう企業は、ハッキリ言って問題ありの企業が多いです。
もし内定取り消しを撤回しても、あなたにも企業側にも何かしらの溝が生まれます。入社後の昇進や部署異動といったキャリアパスに不安が残るからです。
入社しなくとも損害賠償請求など企業と争う場合もありますが、これも個人的にはおすすめしません。
日本ではどうしても、そのような行動を起こした方を特別視する風潮があります。
もし何かのきっかけで、あなたが企業と争ったという噂が別企業の採用担当や業界内に流れれば、あなたのキャリアにとってマイナスに働く可能性があるからです。
時間や労力の無駄よりも、「個人の信用」は取り戻しようがありません。内定取り消しは許されない行為ですが、諦めて次に向かうことをおすすめします。
全国にある労働局に相談する
公的機関に内定取り消しの相談をおこなう場合は、各都道府県にある労働局に連絡してみましょう。
次のページに労働に関する紛争解決制度の説明があります。
個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん) | 厚生労働省
具体的な問い合わせ先は、次のページであなたの所在地から各都道府県の労働局に問い合わせてください。
ポイントは相談ふくめ利用が無料であること、企業に対して労働監督をおこなっている公的機関であることです。
企業と雇用者の間に入って、労働に関する紛争問題の自主的な解決に努めてくれます。それでも解決しない場合は、「あっせん」という専門家を介入させて問題解決を図る制度もあります。
専門家には弁護士、大学教授、社会保険労務士といった労働問題のエキスパートが選ばれます。
弁護士に相談する
有料とはなりますが、弁護士に相談するという手段もあります。
近年は働き方改革などにより、労働問題専門の弁護士が数多く活躍しています。初回相談は無料になっている弁護士も多いので、探してみる価値はあります。
弁護士に依頼することが慣れてない場合や、そもそも弁護士に相談するレベルなのか不安がある方は、法テラスに一度相談することをおすすめします。
法テラスは、簡単にいうと法律問題に対する問題解決の道案内人といえます。
弁護士への相談以前の、「何が分からないかが、そもそも分かってない」状態の方に向けた国がおこなっている支援センターと考えてください。
内定取り消し撤回か損賠賠償か?
具体的に3つのアクションが分かったとしても、何を目的にするかで行動は違ってきます。
あきらめて転職活動を続ける場合は、また内定取り消しが起こらないように、企業と転職者の間に入って転職活動をサポートしてくれる転職エージェントの利用をおすすめします。
労働局や弁護士などに相談する場合は、次の2つのゴールが考えられます。
- 内定取り消しを撤回し入社する
- 企業に損害賠償責任を追求する
労働局や弁護士が間に入り、内定取り消しを撤回させて入社をするのも1つの目的です。新卒で大手企業に対しておこなった例はありますが、中途だと事例は少ないと言えます。
企業側に経済的な損害や精神的な苦痛を理由に、損賠賠償を請求することもありえます。
詳細は法テラスや専門の弁護士に聞くことをおすすめしますが、訴えを起こす手段は労働審判と控訴(裁判)という2つがあります。
労働審判は通常の控訴(裁判)と違い期間が短く、70~80日程度で終わります。短ければ1~2ヶ月、長くとも6ヶ月には終了します。
控訴(裁判)の場合は民事裁判で争うことになり、その場合は9ヶ月~1年程度は掛かることを覚悟しておいた方が良いです。
内定取り消しによる損害賠償の相場は?
損害賠償についての金額額は、和解になる場合もあるので一概には言えません。
ひとつの考えとして、その企業に入社していれば得られたであろう賃金の3ヶ月分~1年程度+慰謝料として50~100万程度を請求し、裁判によって認定学はそれよりも下がるといった感じです。
ちなみに弁護士に依頼する場合は、相談料30分で3000円~1万円、着手金として10万~30万、成功報酬にて獲得した金額に対して10~20%が発生します。
転職における内定取り消しまとめ
転職における内定取り消しについて解説してきました。最後に内容をまとめます。
- 内定を承諾した時点で雇用が発生している
- 正当な理由の無い内定取り消しは違法解雇により違法
- あきらめて転職活動をするのがベター
- 相談先は労働局か弁護士
- 裁判が初めてで不安な方はまずは法テラスに相談
- 訴えを起こす場合は労働審判と民事控訴(裁判)がある
- 損賠賠償の金額は得られたであろう賃金で変わる