転職の書類選考は履歴書と職務経歴書をもとにおこなわれます。
また面接においても面接官が事前にあなたを知るには、履歴書と職務経歴書しか手がかりがありません。
つまり転職においては履歴書と職務経歴書が選考を決める入り口となるのです。しかし履歴書と職務経歴書の本質的な違いを知っていなければ、内定にはいたりません。
この記事では履歴書と職務経歴書の違いと2つの書類の使い分けまで解説します。
目次
履歴書と職務経歴書の『役割』の違い
そもそも履歴書と職務経歴書は、企業側からみてその目的が違います。2つの書類には以下の役割の違いがあります。
職務経歴書はあなたの経験・スキル・資質を見きわめる書類、履歴書はあなたの個人情報などのプロフィールを知るための書類です
職務経歴書は自社で長く活躍できるか、あなたの経験・スキル・資質を判断するために必要です。
履歴書はあなたの個人情報などプロフィールを知るための書類です。企業側の都合としては従業員名簿の作成のみならず、経歴詐称における証拠としての役割もあります。
次に解説する履歴書と職務経歴書の項目の違いを見ればそれがより理解できると思います。
ちなみに職務経歴書とは何なのか?については別途以下の記事でも解説しています。
5分でわかる!職務経歴書とは?【初心者向け】履歴書と職務経歴書の『項目』の違い
ここからは履歴書と職務経歴書に記載する項目の違いについて解説します。以下に履歴書と職務経歴書に記載する項目の一覧を掲載しました。
- 日付:作成日を記載する
- 氏名・生年月日・年齢・現住所:主たる個人情報
- 電話番号・メールアドレス・緊急連絡先:主に連絡先欄
- 学歴:あなたの学歴を時系列で記載
- 職歴:あなたの職歴を時系列で記載
- 免許・資格:取得している免許や資格を記載
- 志望動機:多くの履歴書で記載欄がある
- 特技・趣味:履歴書によっては記載欄が無い
- 通勤時間:応募企業までの通勤時間
- 扶養家族・配偶者・扶養義務:扶養人数、有無の記載
- 本人記入欄:自由に記載できる項目
日本規格協会が開発しているJIS規格という公式な規格がベースになっているが、細かい項目は発売元やネット上のサンプルフォーマットによって違いがあります。
- 氏名・日付:氏名と作成日を記載する
- 職務要約:職歴の概要を3~5行程度にまとめた項目
- 会社概要:所属した会社概要を記載する項目
- 職務経歴:今までの具体的な職歴を記載する項目
- 活かせる経験・スキル:職歴で得た経験やスキルの項目
- 自己PR:あなたの経験や能力をアピールする項目
- 免許・資格:履歴書に書くことが多い
- 志望動機:一般的にあまり記載しない
- 転職理由:一般的にあまり記載しない
- 特記事項:特筆すべき事項がある場合に記載する
特に決まったフォーマットはありませんが氏名・日付、職務要約、会社概要、職務経歴、活かせる経験・スキル、自己PRを記載するのが一般的です。
あらためて項目を見ると、履歴書は個人を証明するプロフィール的な位置づけであり、職務経歴書はあなたの職歴や能力・スキルをアピールする書類であることがわかります。
履歴書と職務経歴書の『作成方法』の違い
作成方法の違いですが、以前は職務経歴書をパソコンで作成し、履歴書は手書きがおすすめという話もありました。
しかし現在は特別指示がないかぎり履歴書、職務経歴書ともにパソコンで作成して問題ありません。アプリなどを利用すればスマホでも作成OKです。
提出方法は郵送もありますが、現在はメールで添付するなどデータで渡すのが主流です。
大手の転職サイトや転職エージェントが履歴書、職務経歴書ともにフォーマットを配布していますので、ネット上でダウンロードして利用すればOKです。
転職サイトやエージェントをはじめ、アプリなどでも項目を入力すれば履歴書、職務経歴書を作成してくれるサービスもあります。
以下は大手求人サイトのインディードが提供しているアプリで、履歴書・職務経歴書ともに作成できます。
未経験転職の履歴書と職務経歴書
ここからは、転職で内定を勝ち取るために履歴書と職務経歴書をどのように使い分けるか、そのポイントを転職でよくある課題別に3つご紹介します。
まずは未経験の職種・業界に転職するための履歴書と職務経歴書の使い分けのポイントです。
仕事を抽象化して共通点をアピール
採用担当は、あなたが未経験者でも仕事で活躍できるかを知りたいです。そこで仕事を抽象化して経験した職務と応募職務の共通点をアピールしましょう。
例えば、販売職でお客様の本当のニーズを探るためヒアリング型の接客を意識していたとします。
希望が営業職なら、ヒアリング型のコミュニケーション能力という共通点に着目して、あなたが営業職として活躍できるイメージをアピールできます。
具体的には職務経歴書の活かせる経験・スキル欄で共通点を記載します。
履歴書では自己PR欄に記載すると効果的です。ネットで手に入れたフォーマット修正して「活かせる経験・スキル」という欄を追加して記載するのも良いでしょう。
調整力、継続力、行動力、柔軟性、発想力など、多くの仕事で必要になるポータブルスキルに着目すると共通点を見つけやすいです。
志望動機でキャリアの一貫性を伝える
未経験転職者は志望動機でもアピールできます。履歴書とあわせて職務経歴書に志望動機の欄を記載してアピールしましょう。
その際、単純なあこがれや興味でなく、5年後10年後を見据えた志望動機が必要です。
例えば、営業からシステムエンジニアになりたいとするなら、将来はITコンサルを目指し、経営とシステム開発の両方を経験できるシステムエンジニアに転職したいと伝えればキャリアの一貫性が感じられます。
ポイントは5~10年後のキャリアをイメージして、そのために今回応募する仕事につく必要があるという組み立て方をしてみてください。
職歴が短く書くことがない人の履歴書と職務経歴書
社会人経験が短い第二新卒をはじめ、正社員になりたいフリーターの方などがこれに該当します。
一番のネックは経験や実績が語れるほどにない点なので、それを解消しましょう。
経験や実績はなくとも働きぶりをアピール
語れるほど経験・実績がなくとも今ある仕事の取り組み方であなたの仕事に対する向き合い方を伝えましょう。
顧客・上司・同僚に感謝されたことで良いです。
具体的には上司に書類作成で褒められたなら、仕事に対する堅実さや正確性をアピールできますし、顧客に気に入られているならヒアリング能力や素直さ、実直さをアピールできます。
職務経歴書の職歴欄で【工夫した点】、【取り組みのポイント】という項目を設けてあなたの働きぶりを記載すると良いでしょう。
社会人経験が乏しい場合は、研修やアルバイトの内容を記載しましょう。
資格や自己学習をアピール
応募する仕事に役立つ資格なら職務経歴書にも記載しましょう。
また試験に向けて勉強中、個人でプログラミング学習をしている等、応募する職種経験がなくとも取り組んでいることをアピールしましょう。
履歴書なら本人希望欄に記載し、職務経歴書なら特記事項に記載します。具体的には以下のように記載するだけでもアピールできます。
現在、20XX年X月X日TOEIC公開テストでの750点取得に向け勉強中です。
志望動機欄でのアピール
履歴書のみならず、職務経歴書にも志望動機を記載します。基本的な志望動機に加え以下のように記載をするのも効果的です。
社会人経験は無いですが、接客のアルバイトで培った持ち前の行動力や柔軟性を発揮し貴社で活躍したいと考えています。
履歴書の志望動機欄では文字数が足りない恐れがあるので、基本的な志望動機とは別に上記の内容を本人希望欄に記載するのも良いでしょう。
職歴が多い人の履歴書と職務経歴書
転職歴や職歴が多い人は、キャリアの一貫性が感じられるようにアピールしましょう。
まず職務経歴書に志望動機を記載します。過去の職歴と応募職種にキャリア上の一貫性を見つけて記載します。
具体的には過去の職歴の中で、応募職種で活かせる経験・スキルを3~5つほどピックアップして、職務経歴書の「活かせる経験・スキル」・「自己PR」欄でアピールしましょう。
さらに職務経歴欄ではそれらにフォーカスした経歴作成を意識します。
なかには履歴書だけを見て応募者を落とす採用担当もいます。
そのため履歴書について志望動機欄はもちろん、「活かせる経験・スキル」・「自己PR」などを記載してあるフォーマットを選びアピールします。
まとめ
履歴書と職務経歴書の違いについて解説してきました。最後に要点をまとめておきます。
- 職務経歴書はあなたの経験・スキル・資質をチェックする書類
- 履歴書はあなたの個人情報などのプロフィールを知る書類
- 職務経歴書は決まった項目は無いが一般的に必要な項目は共通
- 履歴書はJIS規格が存在しほぼ同じようなフォーマット
- 作成方法は履歴書・職務経歴書ともにパソコン・アプリでもOK
- 転職課題ごとに履歴書と職務経歴書をうまく使い分けよう